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「どんな音が聞こえる?」港区ふれあいアート 徳久ウィリアムWSレポート

アートワークショップ 2021年08月05日

20217月、港区の幼稚園でボイスパフォーマーの徳久ウィリアムさん(以下、ウィリー)による『声であそぼう』ワークショップを実施しました。参加したのは5歳児さん56名。感染症対策に留意しながら、1クラスずつ、計2回のワークショップを行いました。

まずは目を瞑って、空間の音に耳を澄ませます。

「どんな音がするかな?」

エアコンの音、ヘリコプターの音、衣ずれの音
……普段は気が付かなかったいろんな音が聞こえてきます。

「今度はどんな音がするかな?」

今度は講師のウィリーが、ホーメイやカルグラなどのボイスパフォーマンスや口琴の音を奏でます。どれも馴染みのない、不思議な音ばかり! 子どもたちは「きゃーーー!」「輪ゴムの音みたい!」「カッコイイ〜!」と思わず声が出てしまうようでした。
音に耳をすませることは、他の人の発言をよく聴くことにも繋がります。「ぼくにはこう聞こえる!」など、お友達の発言を聞いて考えたことを教えてくれるような発言が多く出たのが印象的でした。

「じゃあ、今度はウィリーの声を真似してみて」

一斉に「えー!」と声があがります。ウィリーの超絶技巧は、大人でもなかなか真似するのが難しいもの。子どもたちも「そんなの出来っこない!」「難しい!」と四苦八苦している様子です。
そんな中、子どもから「舌はどうなってるの?」と質問が。ウィリーが舌の動きを教えてあげると、ああでもない、こうでもないと、一生懸命に挑戦していました。子どもたちは真似っこが得意! こうやっていろんなことを覚えていくのですね。

ワークショップ後半では、「カエルの歌」の輪唱をしたあと、インドネシアのケチャの手法を使って、オリジナルのハーモニーをつくりました。手を叩きながら、身体全体を使って、声のリズムを刻む子どもたち。身体を解放してあげれば自然と大きな声が出ることが体感できました。

最後にウィリーから口琴を使ったパフォーマンス実演をプレゼント!
キラキラとした表情で観察する子どもたち。
パフォーマンス中、盛り上がったところで自然と拍手が沸き起こりました……ひとは思いもよらない技巧に触れると、敬意を表したくなるのかもしれませんね。

ウィリーの口琴パフォーマンス

子どもの発達段階では「握る、つまむ、叩く、投げる……」といった風に、身体の動きを一つひとつ獲得していきます。ひとつの動作を使いこなせるようになると、次第にできることが当たり前になり、今度はモノを使ってその動作をすることに関心が移っていきます。でも、「当たり前に出せると思っていた声で、もっと遊べるんだ!」「モノがなくてもいろんな声が出せるんだ!」と、驚きと発見があったようでした。

コロナ禍で声を出すことがはばかられる時代ですが、子どもたちの伸びやかな声に、抑圧された身体を吹き飛ばす生命力を感じた一日でした。

(よっこい)

徳久ウィリアム(とくひさ・うぃりあむ) ウェブサイト
ボイスパフォーマー、発声指導家。ブラジル生まれ。母が日系ブラジル人。早稲田大学卒。1000種類の声が出せる、特殊発声のスペシャリスト。現在、ライブ・イベントで現役のボーカリストとして活動するほか、発声指導家としても高い評価を得ている。子供向けWSも幼稚園、小学校、美術館、アートイベントなど多数経験。