NPO法人ARDA
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港区ふれあいアート 開発好明「ナイトクルーズ」WS

アートワークショップ 2024年07月01日

2023年11月末、開発好明さんによる造形ワークショップを元気いっぱいの6人の子どもたちと行いました。

園に到着すると活気の笑い声の聞こえる横で、黙々とプラレールの線路作りをする大人3人。立体交差を作ったり、わざと平坦な道ではない経路を作ったりと、私も久々に線路作りに没頭しました。

準備が終わると別部屋にて子どもたちとご挨拶。まずはじめに大きな模造紙の周りに座りみんなで線を書いていきます。開発さんのフレンドリーな声がけのもと、子どもたちはすぐに「線路だ!」と自分たちが何を作っているかに気づきました。

次は線路の周りに色々な風景を書いていきます。「電車から何が見えるかな?」という質問に対し、「トンネル!」という言葉が一番出たこと、その後の質問にも電車といえば〇〇線という話の中で地下鉄がメインに発言され、子どもたちの中で「電車=地下鉄」のイメージがあるというと、その後の振り返りでも園の先生から「この辺に踏み切りはありません」と伺い、地域性の違いをあたらめて感じる時間となりました。

さて、平面でイメージを膨らませたあとは、廃材を使って立体のものを作っていきます。大きなダンボールや空き箱を使い、自分の体よりも大きなものを作る子どもたち、そんな中、手のひらサイズの小さなオブジェを作るA君がいました。A君は分厚い段ボールから細かな形を切り出そうとしています。周りの大人たちがサポートしようとしても、自分でやるの一点張り。しかし中々うまく切ることができず、悶々としながら作業していました。進行に遅れが出てきてしまいどうなることかと思いましたが、A君の方から「一緒に作ってください」そして「切ってくれてありがとう」と発言があり彼の中で何かが変化した瞬間に立ち会うことができました。自分が中に入れるくらいの大きな自動車や飛行機を作っていく子どもたちの中、A君が作った作品は「雑草」、なんとも微笑ましかったです。

最後に冒頭に大人で作った部屋いっぱいに広がる線路の中に、子たち達が作った作品を配置し、電車を走らせました。暗い部屋の中にある大きな線路に大興奮の子どもたち、6人の車掌さんが立派に運転をしてくれました。途中パワー不足で坂を登れない電車があった時は、支えてくれたり、長い下り坂を電車が降りる時は「わー!」とみんなでジェットコースターに乗っているように声を出しながら楽しく鑑賞することができました。6人のアーティストによる作品もそれぞれからコンセプトを説明してもらい、楽しい時間はあっという間に終了時間。

片付けの時間も、「もう終わっちゃうの?」「次はいつ?」「ふれあいアートめっちゃ楽しい!」など名残り惜しい雰囲気の中、さようならのご挨拶。子ども達にとって特別な時間になった様子です。

のぶ

開発好明(かいはつよしあき) ウェブサイト
多摩美術大学非常勤講師。様々な地域で住民や参加者と交流しながらつくるコミュニケーションアーティストとして国際的に活動。04年ヴェネチア・ビエンナーレ第9回国際建築展日本館[おたく:人格=空間=都市]、06・09・15年「越後妻有大地の芸術祭」。13年三宅島大学「100人先生」、14年「中房総国際芸術祭いちはらアート×ミックス」、01年より毎年国際的に開催される「サンキューアートの日」を企画。