心配されたお天気も持ち直し、子どもたちは元気に新宿にやって来ました!
電車の到着時刻が遅れるというアクシデントがあったものの、ほぼ予定通りのスケジュールで、殆んどの子どもたちにとって生まれて初めての、美術館体験がスタートしました。
長時間電車に乗って高層ビルのそびえる新宿までやってきた渋谷小の子どもたち。到着直後こそやや興奮した様子でしたが、展示室でのマナーを確認した後、作品を前に過ごす自由鑑賞の時間の流れのなかで、みるみる落ち着きをとり戻してゆくのがわかりました。ひとりひとりが自由に作品を鑑賞する「個人鑑賞」の時間を最初にしっかり確保し、その後、班ごとに対話による鑑賞(「グループ鑑賞」を行い)、最後に再度自分の好きな作品に会いにいける「個人鑑賞」の時間を設けます。先週の学校での事前授業も含め、限られた時間のなかでも、子どもたちが作品としっかり向き合える環境を整えることは、コミュニケーターの大切な役割です。
8人のシャベラーさんが、美術館での対話による鑑賞のファシリテートを初体験しました。実際に本物の作品を前にして、授業のときとはまた違った様子の子どもたちの気持ちに沿いながら、目の前の作品保全への配慮や時間配分にも気を配りながら進めていくのはとても大変です。しかし、さすがにしっかり準備をしてきた皆さんの落ち着いた対応には感心しました。発言がなかなか出ないときの対応のしかた、子どもとの距離のとりかたなど、様々な反省も実際にやってみてこそでてくる貴重な体験です。
作品をみる動機付けの一つとして、クリップボードにはさんだ「なんでもシート」をそれぞれに渡し、作品をみて感じたこと、気づいたこと、あるいは言葉だけでなくスケッチもOKなど、なんでも自由に記入できるようにしました。シートが足りなくなって何枚ももらいにくる子がいたり、書くことよりも観ることに熱中して白紙の子がいたり。短い滞在時間のなか1回目にして、美術館で本物の作品に囲まれた子どもたちが、積極的に興味を持ち、しっかり絵を見てくれたことは大成功といえるでしょう。また同時に、アートを媒介にした今回の試みを通して、いつもとは違った子どもたちの面を、先生方も発見してくれたようでした。
見学にきた大和市教育室長の西山さんも後から感想をくれました。「とても積極的に子どもたちが作品をみていたのがとても印象的だった。今日は、自分から何かを本当に『観る』ということを子ども達はしていた。そして正解のないアートだから、自分で考えて自由に話をする。こういう経験は他ではなかなかできないのでは。」と。
最後になりましたが、月曜の休館日にも拘わらず、快くご協力くださった損保ジャパン東郷青児美術館の皆様に心よりお礼申し上げます。本当にありがとうございました。