子どもたちの「自ら考え話す力」を育むために、対話型アート鑑賞講座を同期の仲間と運営。
村上 英子さん(アートユニット カナ・カナ)(写真右上)
鑑賞ファシリテーター養成講座10期受講
「自ら考え話す力」や「コミュニケーション力」を育むために、「解説のない『対話型アート鑑賞』講座」を、子供向け(小学3~4年生対象)と大人向け、それぞれ月1回のペースで開催しているアートユニット カナ・カナ。発起人であるカナカナさんこと村上さんを中心に、メンバーのらんさん、ミホさん、ともえさん、こんどさんに、活動についてお話を伺いました。
Q1:ARDAの講座を受講したきっかけは何ですか?
カナカナ:知らない人同士がお互いに信頼関係を持って助け合うにはどうしたらいいのかに興味があり、行動経済学や心理学など、あらゆる文献を2年間調べて考えたことがありました。そのとき出会ったのがVTSです。英語の論文よると、VTSはアメリカの授業で行われていて、先生と生徒たちの「信頼関係」が、「心理的安全性」の高い環境から生まれていて、とにかくすごいらしいというのです。
もともと絵画鑑賞が好きだったので、俄然、興味が湧きました。そして辿り着いたのがARDAの講座です。ちょうど我が子の受験期も重なって、暗記型から思考力型へと受験が変化していること、これからは「自ら考える力」が重要になることを知り、未来を担う子どもたちが「自ら考え、自らの言葉で表現する」場を作りたいと思いました。それを多様な仲間と一緒に行うため、ARDAの講座受講中に、ほぼ私の直感だけでメンバーに声を掛け、2019年の夏から始まったのがアートユニット カナ・カナです。
Q2:コロナ禍での活動はどうですか?
カナカナ:2020年の5月から講座をオンラインに切り替えて以来、海外に住む日本語を話す子どもたちが国を問わず参加してくれるようになり、私たちも驚いています。コロナ禍で日本語を話す友だちと会う機会が減っていたことも要因のようで、親御さんたちからは、日本語の力を補完するのに良いと好評をいただいています。
ともえ:「パラフレーズ(言い換え)」という基本のスキルが、コミュニケーションの良いクッションになっています。日本語がネイティブじゃない子どもたちは、自分が感じたことの6割くらいしか日本語で表現できないのですが、ファシリテーターがそれを自分の言葉で丁寧に言い換えてあげることで、日本語の勉強にもなるのです。
ミホ:海外から参加してくれる子は、「これは日本語で何て言うんだろう」と、一生懸命考えています。だからその言葉を拾ってあげると、「周りの友だちに分かってもらえた!」と、とても嬉しそうな顔をします。伝わる、分かってもらえるというのは、こんなにも嬉しいことなのですね。
ともえ:勉強が目的ではなく、絵を見るのが楽しい、伝えたいことが先にあって、そのために試行錯誤することが楽しい学びにつながっているのだと思います。それが日本に住む子たちにとっても良い刺激になる。知らない単語を教え合うなど、良い学び合いの場にもなっています。
Q3:活動の中で印象的に残っているエピソードはありますか?
カナカナ:学校ではなかなか手を挙げられない、積極的に発言できない子どもたちもよく参加してくれるようになりました。事前に親御さんから「うちの子は発言できないかもしれないけどいいですか?」と相談されることもあるのですが、そういう子ほど、発言が止まらないくらいよく話してくれます。考える力や発言する力、想像力が豊かな子が多いです。
らん:学校では喋らない子がよく話してくれるというのは、自分でその場にいられると、安心した気持ちを持ってくれたからだと思います。私たちの場でそういうことが起こっているのがとても嬉しいです。
こんど:2~3か月、あるいは、半年ごとにリピーターさんは変わっていくのですが、それは初めて会った子たちの前で話せたことが自信になって、「これでいいんだ!」と、自分で納得して卒業しているのだと思うのです。
カナカナ:あの子はどうせ喋らないからとか、レッテルを貼られるようなところに行くのは嫌ですよね。家庭や学校とは別の、子どもたちが集い・つながり合える「サードプレイス」のような場を作りたいのです。
→→アートユニット カナ・カナ「解説のない『対話型アート鑑賞』講座」の詳細はコチラ。