NPO法人ARDA
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やまとアートシャベル 1期生研修レポート(15~16回目)@美術館

対話で美術鑑賞 2013年01月14日
■15回目 12/3 8:20-12:30@損保ジャパン東郷青児美術館(東京・新宿)

心配されたお天気も持ち直し、子どもたちは元気に新宿にやって来ました!
電車の到着時刻が遅れるというアクシデントがあったものの、ほぼ予定通りのスケジュールで、殆んどの子どもたちにとって生まれて初めての、美術館体験がスタートしました。
長時間電車に乗って高層ビルのそびえる新宿までやってきた渋谷小の子どもたち。到着直後こそやや興奮した様子でしたが、展示室でのマナーを確認した後、作品を前に過ごす自由鑑賞の時間の流れのなかで、みるみる落ち着きをとり戻してゆくのがわかりました。ひとりひとりが自由に作品を鑑賞する「個人鑑賞」の時間を最初にしっかり確保し、その後、班ごとに対話による鑑賞(「グループ鑑賞」を行い)、最後に再度自分の好きな作品に会いにいける「個人鑑賞」の時間を設けます。先週の学校での事前授業も含め、限られた時間のなかでも、子どもたちが作品としっかり向き合える環境を整えることは、コミュニケーターの大切な役割です。

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8人のシャベラーさんが、美術館での対話による鑑賞のファシリテートを初体験しました。実際に本物の作品を前にして、授業のときとはまた違った様子の子どもたちの気持ちに沿いながら、目の前の作品保全への配慮や時間配分にも気を配りながら進めていくのはとても大変です。しかし、さすがにしっかり準備をしてきた皆さんの落ち着いた対応には感心しました。発言がなかなか出ないときの対応のしかた、子どもとの距離のとりかたなど、様々な反省も実際にやってみてこそでてくる貴重な体験です。
作品をみる動機付けの一つとして、クリップボードにはさんだ「なんでもシート」をそれぞれに渡し、作品をみて感じたこと、気づいたこと、あるいは言葉だけでなくスケッチもOKなど、なんでも自由に記入できるようにしました。シートが足りなくなって何枚ももらいにくる子がいたり、書くことよりも観ることに熱中して白紙の子がいたり。短い滞在時間のなか1回目にして、美術館で本物の作品に囲まれた子どもたちが、積極的に興味を持ち、しっかり絵を見てくれたことは大成功といえるでしょう。また同時に、アートを媒介にした今回の試みを通して、いつもとは違った子どもたちの面を、先生方も発見してくれたようでした。
見学にきた大和市教育室長の西山さんも後から感想をくれました。「とても積極的に子どもたちが作品をみていたのがとても印象的だった。今日は、自分から何かを本当に『観る』ということを子ども達はしていた。そして正解のないアートだから、自分で考えて自由に話をする。こういう経験は他ではなかなかできないのでは。」と。
最後になりましたが、月曜の休館日にも拘わらず、快くご協力くださった損保ジャパン東郷青児美術館の皆様に心よりお礼申し上げます。本当にありがとうございました。

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■16回目 2013年1/16 9:30-12:30@横浜美術館

新しい年を迎えて最初の研修は、来月大和市立引地台小学校の子どもたちと訪問する横浜美術館での打ち合わせです。
6名のシャベラーさんが参加し、当日の細かい役割分担はもちろん、実際の展示空間や作品をじっくり観察することができた大変実りあるものとなりました。

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横浜美術館では展示替えのお忙しいさなか、教育普及グループの関さん、岡崎さん、そして坂本さんが笑顔で迎えてくださいました。光をテーマにした今回のコレクション展では、展示台の上にむき出しのままガラスの彫刻作品が置かれているコーナーがあります。スポットライトを浴びて美しく透明に輝くグラス・アートを、ケースに遮られることなく堪能できる、来館者にとって大変魅力的なコーナーです。けれども、このスペースで子どもたちを自由にするのは少々心配…。当日は個人での自由鑑賞の時間と、グループでの対話による鑑賞の時間を設け、自由鑑賞で子どもたちは、好きな作品、見たかった作品を探して展示室を自由に行動する計画です。しかも岡崎さんのお話によると、これまでの横浜美術館での小学生の鑑賞会では、展示室を自由開放することはなかったといいます。さて、どうするか?作品保護は絶対条件です。ガラス作品のコーナーを立ち入り禁止にすることも考えられましたが、それではせっかくの鑑賞の機会が失われてしまいます。話し合った結果、ガラスコーナーのスタッフを増やし、さらにこのコーナーに入る際は子どもたちがグループを作り、必ず大人と一緒に鑑賞する、というルールを作りました。子どもたちは説明すればきちんと理解してくれます。ただ、意図せずに何気なくとった行動が大きなトラブルになってしまうことのないよう、万全の体制を整えるのは大人の責任です。「せっかくの貴重な美術館体験で、子どもたちに嫌な思い出を作ってほしくない。」という坂本さんの言葉をしっかりと刻み込んだシャベラーさん。一般のお客様がいるなかでのVTSも今回初めての経験です。期待と緊張を胸に!今月は忙しくなりそうです!(桑原和美)