震災復興支援・こころをつなぐアートプロジェクト (2012) vol.1
■1/25(水) 12:30-16:30「中津川浩章の似顔絵屋さん&コーヒー・サロン」
講師:中津川浩章(なかつがわひろあき/美術家)
参加人数:似顔絵14名 コーヒーサロン38名 計52名(のべ)
共催:NPO法人JCDN
協力:一般社団法人パーソナルサポートセンター
助成:日本財団ROAD PROJECT
ここ青葉区の川内公務員住宅の一部は、いわゆるみなし仮設として、150世帯のみなさんが住んでいらっしゃいます。パーソナルサポートセンターの鈴木さんより、ここは支援が少なく、なかなか人が集まってこないのでとお話を頂き、似顔絵屋さんとコーヒーサロンを実施しました。
集会室では2週間前からやっと太極拳のクラスがはじまったばかりで、スタッフの佐藤さんも「どれだけ人が集まってくれるかわからないのですが」と、不安顔。それでも、受付の12:30になるとすぐに数人の方々がいらっしゃいました。最初の一人を描き始めると、他の方々はコーヒーを飲みながら、自己紹介や住まいの情報交換などの楽しいおしゃべりが始まりました。
初めは、みなさん「絵を描いてもらうなんてはじめてで。」と緊張した面持ちですが、描いてもらった後は、みなさん満面の笑顔。「若く描いてもらっちゃったわ~」「似てる~」「実物の3割増し!」など、照れながらも、とっても嬉しそうです。
お互いに描いてもらった絵を見せながら、会話も進みます。
中津川さん曰く「初めはみんな緊張してはずかしそうなんだけど、描いているうちに見られることに慣れてきて、『私はここにいる』と存在感を放ってくる。最後に絵を受け取ったとき最初と全然違い、顔が輝いていて、その変化を見るのが感動的。」中津川さん自身は、普段は抽象画を描いていているのですが、「肖像画にはまってしまいそう。」とまで言うほど、何か深くつながるものがあるようです。
仙台市青葉区のまちづくり推進課の方々も、様子を見に来てくれました。行政の方もコミュニティ作りにとても熱心で、みんなで復興しようという気持ちを共有できたような気がします。また、この写真は仙台にお住まいの写真家、石原真澄さんが私のカメラを使って撮影してくれました。同じカメラでも、ちょっといつもと雰囲気が違います。このように、素敵な人たちの協力あって暖かな場がつくられています。(三ツ木)
撮影協力:石原真澄
————————————————————————————————————————————-
■1/26(木)AM 南相馬市立八沢幼稚園その1
「「からだであそぼう!」講師:新井英夫(あらいひでお/ダンサー・体奏家)
9:15-10:10 5歳児23名 保育士1名 10:20-11:15 4歳児22名 保育士1名
12月の南相馬滞在時に、ある幼稚園から紹介して頂き、八沢幼稚園とつながることができました。ここは9月に園を再開したこともあり、なかなか子どものための支援がなくて、探していたのだそうです。現地に足を運んでこそ、入ってくる情報があります。私たちが伺うと、園長先生をはじめ、保育士さんも子どもも大歓迎してくれました。
*************
「からだであそぼう!」
まずは5歳児さんとからだであそぼう!舞台から出てきたピンクチューブにきゃーきゃー声を上げていましたが、新井さんがでてくるとあっという間に笑顔に。
輪になってビックリ顔をしたり、お互いをマッサージしたあと、太鼓の音でバラバラダンス。
2人一組でカタツムリになったり。
これは「クワガタ」!色んな発想がドンドン生まれてきます。
最後は2人一組のお友達と仲良くなるダンス。息をあわせて仲良くダンスできました。(三ツ木)
次は4歳児さん。舞台の幕の陰から布チューブをかぶって登場した新井さん。足の部分だけが見えた時は、まだ「?」の子ども達。全身が現れると、予想以上の謎の生き物の出現に部屋中を逃げ回りました。
驚きの出合いの後には、新井さんの演奏にのせて握手でごあいさつ。
身体をほぐした後は、ガイコツ先生に伝授してもらったバラバラダンスで全身を柔らかくしていきます。
さらに互いの動きをまねする鏡ごっこ!
おっとっととなるような大きな動きから、ちょっとだけ首をかしげるような小さな動きまで、互いをじっと見つめあいました。
最後は新聞紙を使って花火!思う存分空に打ち上げます。本日2つ目の活動でしたが、最後までつかれたという声もなく、集中して遊びきることができました。
子ども達がチューブのトンネルをくぐった後は、「くぐれるかしら」と心配しながら先生も挑戦。さらに、新井さんと2人のチューブ人間になって子ども達をわかせました。(近田)
アーティスト:中津川浩章(美術家)、新井英夫(体奏家・ダンスアーティスト)
主催・企画:NPO芸術資源開発機構(三ツ木紀英・近田明奈)
共催:NPO法人JCDN
助成:日本財団ROAD PROJECT
—————————————————————————————————————————————
■1/26(木)AM 南相馬市立八沢幼稚園その2
「アクションお絵かき!」中津川浩章(なかつがわひろあき/美術家)
9:15-10:10 4歳児22名 保育士1名 10:20-11:15 5歳児23名 保育士1名
4歳児さんは中津川浩章さんの「アクションお絵かき!」から。大きい紙に身体をいっぱいに使って線を描きます。まっすぐな線、ゆっくりな線。クネクネな線。
あっと今に紙が色でうまり、完成作品を見た先生曰く「パワースポット」のような、ぐりぐりと線が何重にも重なった部分がいくつもできていました。
今度は好きな色のクレヨンをもって、紙の上を端から端へ。色を変えて、何度も何度も飽くことなく紙の上を行き来しました。はじめは一本だったクレヨンも、両手もち、2本持ち、3本持ちに。最後は手にあふれんばかりに持って、紙をうめてゆく線や色の重なりを楽しみました。
(近田)
続いて、5歳児さん。好きな色でまっすぐな線を描いてみようの中津川さんに声に、最初は戸惑いながらも、段々エンジンがかかり、いつのまにか画面が埋まっていきました。
渦巻きをグルグル描くところで、ぐっと集中力がでてきました。男の子たちは何人かで一カ所に何層にも色を重ねています。
出来上がった絵をホールに展示。上が4歳児さん、下が5歳児さん。見に来た遅番の先生が「すごい八沢幼稚園!芸術だわ!」とその迫力にびっくり。
終わった後のふりかえり。保育士さんからは、「全身使って動くような活動は中々出来ないが、今日は体を十分に使って、のびのび活動できた。」「お友達の体に触れあったりできてよかった」「支援が必要な子がとてもよく集中できていてびっくりした。」「4歳、5歳の様子で導き方が違っていてさすがだと思った。」「保育士だけだとどうしても固定概念があるけど、今日はとてもダイナミックにできた、子ども達のいつもと違う笑顔が見られた。」と。
アーティストからは「続けて2時間の活動なのに、よく遊べていた。」「4歳児さんはとても工夫して体で表現できていた。」「チームワークがよく、よく動き回って描いていた。」「5歳児さんは、クワガタなど勢いにのっているととても面白いものがでてくる」などのコメントがでました。
みなさんとても喜んで下さって、会津料理の給食を出して下さったり、帰る時には保育士さんみなさんで外にでて、寒い中タクシーが見えなくなるまで手を振って見送ってくださいました。別れがたい出会いでした。(三ツ木)
アーティスト:中津川浩章(美術家)、新井英夫(体奏家・ダンスアーティスト)
主催・企画:NPO芸術資源開発機構(三ツ木紀英・近田明奈)
共催:NPO法人JCDN
助成:日本財団ROAD PROJECT