震災復興支援・こころをつなぐアートプロジェクト (2012) vol.2
アートワークショップ
2012年01月27日
■1/26(木)上真野幼稚園&保育園 保育士講座
「からだであそぶ」講師:新井英夫(あらいひでお/ダンサー・体奏家)
14:30-15:30 上真野幼稚園保育士3名 上真野保育園 保育士3名 計6名
「絵で気持ちを表現する」中津川浩章(なかつがわひろあき/美術家)
15:40-16:45上真野幼稚園保育士3名 上真野保育園 保育士3名 計6名
参加人数: 計12名(のべ)
私たちが南相馬に来てワークショップすることは子どもにとって、限られた特別の時間になってしまいます。上真野保育園の園長先生に相談し、日常の遊びのヒントになるような保育士さん向けの講座をさせて頂くことになりました。
「からだであそぶ」
新井さんの講座では、子どもたちと身体を使って楽しむ時に、動きのイメージを広げるコツや、ゲームの様に自然と動いてしまう方法を、解説とともに体験して頂きました。いくつかのシンプルなルールで、思いもよらない不思議なポーズや、いつもは使わない部分の動きが引き出されていきます。新井さんの活動では思い切り走ることが難しい限られた場所でも、汗がじっとりにじみ、大人の場合は次の日筋肉痛になるほど。自分と他者の動きへの集中力も求められ、それが達成感や充実感にもつながるように感じます。
外で思い切り身体を動かす機会を奪われている子ども達にとって、園のホールで遊べる少ない時間の中で、いかに全身を使った質の高い活動ができるかは切実な問題です。身体にも心にも大きく関わってくることではないでしょうか。体力の低下を先生方が心配し、実際にすでに感じてもいるようです。厳しい状況の中ではありますが、講座を始めると先生方もすぐに夢中に。終始笑顔あふれる交流のひと時になりました。(近田)
「絵できもちを表現する」
水彩やクレヨンを使って、自分の気持ちをどう表現するか、簡単なようで難しいことです。中津川さんの講座では、水に濡らした紙に「今日の気持ち」「イライラ」「ワクワク」「ドキドキ」を水彩で表現していきました。また地震がきたらどうしようという「ドキドキ」する気持ちを描いたり、答えの見つからな今の状況を、黒や茶、深い青などで表現する方もいらっしゃいました。子ども達とは元気に過ごしている反面、保育士さん自身も不安を抱えていらっしゃる現実が垣間みられます。
楽しい気持ちを表現することで、もっと元気に。あるいは、モヤモヤした不安に色や形を与えて、絵にしていくことで、気持ちを少し客観視できます。また、意識的にも無意識的にも、描いた絵には色や形に意味や理由があります。描いた絵を変に分析するということではなく、子ども達と絵についてお話することで、その子のことがよりよく理解することができるのではないでしょうか。最後には「子ども達と早速絵を描いてみます」という声も。短い講座でしたが、室内での子どもとの遊びのヒントにしてもらえればと思います。(三ツ木)
アーティスト:中津川浩章(美術家)、新井英夫(体奏家・ダンスアーティスト)
主催・企画:NPO芸術資源開発機構(三ツ木紀英・近田明奈)
共催:NPO法人JCDN
助成:日本財団ROAD PROJECT
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■1/27(木) 福島市 学校法人白百合学園白百合幼稚園その1
「からだであそぼう!」講師:新井英夫(あらいひでお/ダンサー・体奏家)
9:40-10:40 5歳児38名 保育士5名
参加人数:からだであそぼう計43名
福島市は原発から60km離れていますが、放射線量は低くなく、子どもは外で遊べません。今回は初めて福島市内の幼稚園を訪れました。外は20分だけ遊んで良いことになっていますが、子ども達は廊下を走り廻っているので、欲求不満が溜まっているのかも。と先生。今日は思い切り遊んでもらいます。
まずは40人の5歳児さんとからだのワークショップ。2クラス合同で、大人数だったのですが、みんなよく集中して遊べました
おきまりのピンクチューブに歓声をあげて、逃げ惑う子ども達。ウォーミングアップは、寒さを吹き飛ばす、ゴキブリダンス。
3人一組でほっぺ歩き。
鏡遊びも、息をあわせてできています。「楽しい~」という声も。右の写真は2人一組でキノコになっています。同じキノコでも、色んな表現があります。
この2つは象さんです!8人で協力して、両脇の耳や鼻、牙やしっぽになりきっています。
最後は息をあわせて、「お友達と仲良しダンス」。1時間の身体遊びを思い切り楽しみました。(三ツ木)
アーティスト:中津川浩章(美術家)、新井英夫(体奏家・ダンスアーティスト)
主催・企画:NPO芸術資源開発機構(三ツ木紀英・近田明奈)
共催:NPO法人JCDN
助成:日本財団ROAD PROJECT
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■1/27(木) 福島市 学校法人白百合学園白百合幼稚園その2
「アクションお絵かき!」中津川浩章(なかつがわひろあき/美術家)
9:40-10:40 4歳児23名 保育士2名 10:50-11:45 5歳児38名 保育士5名
参加人数:アクションお絵かき 計66名、からだであそぼう計43名 計109名(のべ)
4歳児さんは中津川さんの「アクションお絵かき!」を体験。「まっすぐな線を描いてみよう」との言葉に、慎重にクレヨンを動かす子ども達。なんとも丁寧な線に、子ども達の几帳面さがうかがえました。
そんな子ども達も次第に腕の速度を増してゆきます。紙の上にのってダッシュ!次第に身体の動きと描くことが一体になっていきました。
何人かでまとまって、ものすごい勢いで渦を描く様子も。後ほど聞くと「色の対決」をしていたそう。幾層にも重なったクレヨンを、爪を使って削り取る姿も見られました。活動の入りこみ方に個々の違いが見られましたが、どの子も夢中になれる瞬間があったのではないかと思います。
活動後、5歳児さんの作品(上2枚)と4歳児さんの作品(下)をホールに飾りました。展示をすると、改めてせまってくるような迫力を感じます。(近田)
終わってからの振り返り。4歳児担任先生は、「線だけでこんなに長い時間遊べるのかと驚いた。規制しないのがいい。のびのびできていた。」「終わったあとももっとやりたい。紙を裏返して、後でやろうなどと言うほどだった」
5歳児担任先生は、「からだで遊ぼうでは、支援が必要な子も、すごく楽しんでいた。外遊びの制限の中、よく遊べて本当に良かった。それぞれ1時間ずつよく集中していた。」「絵を描く方では、はじめ、一人の女の子のリーダーが、使う色をみんなが真似していたが、ルールがわかって楽しめてくると、全然違う色を自分で選べるようになっていたのがとても良かった。」「あんなに大きな紙に、何も考えないで描ける楽しさ。様子を見ていて、描くことがストレス解消になるのかと思った。」と。
アーティストからは、「バランスよく集中できていた。一つのエネルギーになって、ワクワクと育っていった」「きもちを表現させることを大事にしている。溜まっているものをはきだせた気がした。」とコメントが。園長先生からは、「これからも長い生活となる。6-7月にまた是非来て欲しい」というご希望も頂きました。「これからの長い生活。」、、、。マスクをかけながら、子どもと一緒に生きていくという若い保育士さんのきりっとした表情が強く私たちの心に残りました。(三ツ木)
3日間のワークショップ参加人数 合計 267名
アーティスト:中津川浩章(美術家)、新井英夫(体奏家・ダンスアーティスト)
主催・企画:NPO芸術資源開発機構(三ツ木紀英・近田明奈)
共催:NPO法人JCDN
協力:一般社団法人パーソナルサポートセンター
助成:日本財団ROAD PROJECT