震災復興支援・こころをつなぐアート・プロジェクト (2012) vol.3
■7/10 仙台市扇町一丁目仮設住宅集会室
13:45-15:00「からだをほぐそう!」 講師:新井英夫(体奏家・ダンスアーティスト)
15:00-17:00「コーヒーサロン」
参加人数:からだをほぐそう14名 コーヒーサロン20名 計34名(のべ)
協力:一般社団法人パーソナルサポートセンター
ここ仙台市扇町一丁目の仮設住宅に伺うのは、昨年の9月頭、10月末に続き、3回目。新井さんは9月にきて、10ヶ月ぶり。まず、到着してびっくりしたのは集会室の玄関で、色とりどりの花が咲き乱れる花壇。お花だけでなくきゅうりやトマトなどの野菜もなっています。きれいに手入れがしてあって、住民のみなさんで、大事に手入れしていることがすぐにわかりました。
13:30をすぎるとちらほらと集合。半分くらいがこれまでご参加いただいたお顔でしたが、どなたも昨年よりも穏やかでにこやかな感じがします。パーソナルサポートセンターのスタッフの方も加わって、ワークショップはスタート。
お互いの背中を軽くたたいたり、マッサージしたり、身体をほぐすと、益々笑顔に。無理せず足の悪い方は座ったまま。元気な方は立ち上がって、ダンス。終始笑い声があがり、みなさんうっすら汗をかいていました。終わった後に、何人か横になって新井さんがマッサージ。
終わった後のコーヒーサロンでは「一緒にからだを動かして、ゲームみたいなことして、一番楽しかったから、また来てくれて嬉しいわ。」と高齢の女性。新井さんの野口体操の話に興味津々でたくさん質問していたにこやかな男性は「去年の私と今年の私はちがう。ここに来たばかりの時は、なんでこんな仮設になんでいるのだろうと思っていた。でもこうやっていろんなイベントに参加しながら、ここの生活と状態と全部受け入れて、思い切り味わいきろうと考え方を変えた。」と語ってくれました。本当に昨年お会いしたときとは全然雰囲気が違い、別人のよう。八百屋の卸をしている女性が、メロンやスイカやさくらんぼを山ほど振る舞ってくださり、お腹いっぱい初物の果物を頂きました。
外には移動図書館がやってきて、子どもたちの遊ぶ声がきこえてきます。どこか下町の軒先で近所の人と集まっているような気になってきました。ある年配の女性は、「でもね、ここに来る人はいつも決まっていてね。でてこない人は何にしているかわからないしね。無理矢理つれてくる訳にもいかないしねぇ。」と。ここにいらっしゃらない人に心を砕いていらっしゃり、その気持ちに暖かい気持ちになります。
コーヒーサロンの後片付けも、お母さんがたが手伝ってくださりあっという間に終了。仮設のムードメーカーのKさんが、仙台まで車で送ってくださる時も、玄関のところまでみなさんでてきて姿が見えなくなるまで、手を振って見送ってくださいました。仮設住宅は当初2年といわれていましたが、3年に延長されたそうです。みなさんが次の生活に移るまで、会いに行きたい!と思います。(三ツ木)
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■7/12(木) 福島市 学校法人白百合学園白百合幼稚園
「からだであそぼう」講師:新井英夫(体奏家・ダンスアーティスト)
9:40-11:10 5歳児26名 保育士2名
保育士講座「からだをほぐそう!」講師:新井英夫体奏家・ダンスアーティスト)
14:00-15:45 保育士10名
参加人数:からだであそぼう 計28名、からだをほぐそう計10名 計38名(のべ)
今年の1月にも訪問した福島駅から車で10分ほどのところにある白百合幼稚園。除染はもちろん、ホールにつながる室内砂場を増設するなどここにいる子ども達のために、幼稚園独自に工夫を凝らしています。今回も予算を用意し、子ども達のために私たちを呼んでくださいました。
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「からだであそぼう!」
今は子ども達は朝と午後と20分ずつ時間を区切って、外で遊んでいるそうです。それ以外は、室内がこどもたちの遊び場。限られた空間でも、楽しく、汗をかくほど動いて発散できて、かつ怪我なく動けるような身体と感覚をつくることを意識したワークショップとなりました。
ピンクのチューブで現れた新井さんにみんな大歓声。一人一人と握手したあと、輪になってお互い背中をさすったり叩いたり。気持ちの良い加減でお互いの身体に触れ合います。
これは、納豆ねばねばの動き!
これは氷が溶けて、水になってしまった動き。「ああーー、お水になって気持ちが良い!!」という声も。お水の気持ちに成りきってます。
太鼓の音で、クネクネダンス。
4人一組で3秒で自転車!!いろんな自転車ができました。
2人一組で鏡ごっこ。じっと相手と見つめ合って動くととっても集中力を使います。
最後に絵本「はらぺこあおむし」のダンスを、子ども達に見てもらいました。(三ツ木は絵本を読み上げ&音役で写真がとれませんでした。残念!)
子ども達はお互いを優しく触り、途中で泣いちゃう子を気遣い、イメージの中にどっぷり使って動いていました。変に大人にアピールしたり、甘えたりする子もなく、遊びに没頭していました。色々な子ども達と活動していますが、大人達に大事にされ、すくすくと育ってきた、遊ぶ力のある子たちという印象を受けました。
終わった後は、保育士さんたちと振り返り。保育士さん達が気にしていたのは、この環境下の中でこどもたちの様子はどうか?東京で様々な5歳児さんたちとワークショップをしている私たちから、子ども達の様子がどのように見えたかということでした。新井さんは「90分という時間の中で、いつもよりもたくさんのプログラムが密度を持って、行うことができた。最初に輪になるところも短い時間できれいな輪ができていたし、静かに集中するところとわっと弾けるところと両方を楽しんでいた。途中恥ずかしくて泣いてしまった子を気遣って、輪にいれるところなど、子ども達がとても落ち着いていて、思いやる気持ちも育っている子たちだと思った。」と。厳しい環境下で保育士さん方が子ども達にいかに心を砕き、大事にしていらっしゃるかが感じられる時間でした。そして、保育士さんからは転園してきたばかりで、普段はみんなの中に入りにくいAちゃんが今日はみんなから声をかけられて、素直に仲間に入っている姿がみられてよかったとの感想もありました。一人一人がもつ良い面がぐっと引き出されワークショップになりました。(三ツ木)
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「からだをほぐそう」
午後は保育士さんに保育士講座。身体の力を抜いて、楽に動く野口体操と、子ども達との遊び方について体験して頂きました。色々な小道具を巧みに使う新井さんのワークショップにみなさんすっかり、入り込んでいます。野口体操の原理である、重力や空気の流れが可視化され、動きに対するイマジネーションが広がります。
まずは2人一組になって、力を抜いた身体や腕を小刻みにゆらしてマッサージ大会。クネクネとゆれる身体に驚きの声。上半身をぶら下げて、ユラユラさせて、固まった関節をゆるめます。
膝と足首を屈伸させて、布を空中に舞わせます。
広げた一枚の新聞紙を音を出さないように持って空間を移動し、交換したり、その一枚のかみからどんな音がでるか探したり。最後にびりびりに破いて花火!時間を大幅に延長しましたが、最後まで残って、熱心に質問をしていました。終わってから、子どもたちと早速一緒に遊んでみます!とおっしゃってくださいました。保育士さんは身体が資本。腰や膝などに痛みをもっている先生もいらっしゃいますが、最後は自分の身体よりも、限られた空間で子ども達の遊びをいかに豊かにするかということで話が盛り上がりましたが、ご自分の身体も大事にメンテナンスしていただければと心から思います。 (三ツ木)