震災復興支援・こころをつなぐアートプロジェクト (2011) vol.2
■6/6 七里ヶ浜第一スポーツ広場仮設住宅
七ヶ浜町の避難所(七ヶ浜町中央公民館)にいた子どもたちは無事仮設住宅へお引越ししたとのことで、4日にうかがった仮設住宅の集会室を再訪しました。
集会室の外観。入口にはお花が植えられたプランターが並んでいます。
集会室では、中津川浩章さん(美術家)による似顔絵コーナーをひらきました。
中津川さんはざっくばらんにお話をしながら相手の方の表情を捉え、すらすらと描いてゆきます。5分ほどで似顔絵が完成。4世代で入居されているおばあさんとひ孫さんの似顔絵もできました。
ボランティアで集会室の運営に長期間かかわってこられたAさんも1枚。近々愛知県に戻るということで、似顔絵は記念に集会室に飾っていらっしゃいました。
おばあさんの「若く描いてね」という要望に応え「じゃあ20歳若くしますね」と中津川さん。おばあさんに「(方言で話していると)わからないでしょ?」
ARDAスタッフ「(図星!)早口でお話しされているとわからないときもあります~」
おばあさん「早口のつもりはないのだけどねえ。孫にも全然わからないって言われるの」
とお話したり。
赤ちゃん連れのお母さんとは「震災後大変じゃなかったですか?」「母乳だったから何とかなりました~」と、震災のことや生活のこと、あれこれお話しているうちに十数名の似顔絵が完成しました。
入居者の中には集会室にまだ訪れたことがない方もおり、似顔絵のために初めて集会室に来たというおばあさんも。こうした活動が、人と人、人と場所をつなげるちょっとしたきっかけになればいいなと思いました。
集会室の壁に飾られた似顔絵。「あ、これ○○さんでしょ!」と、言い当てた方もいらっしゃいました!
(近田)
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■6/6 はまぎく児童保育館
午後は近くの汐見小学校の敷地内にある、はまぎく児童保育館へ。
中津川さんの「アクション・お絵かき!―からだぜんぶでセンをかこう!すきなコトをたくさんかこう!―」を実施しました。1~3年生30名を越える子どもたちと、前後半1時間ずつ14時半~17時頃まで活動しました。
外部から大人が来るのは珍しいそうで、テンションが高めの子ども達。「何しに来たの?」「あそぶものは何にもないよ」と、部屋に入る前から興味津々でした。
まずは白いロール画用紙を2列配置し活動がスタート。
まっすぐの線、うねうねした線、全身を使ってドローイング!紙の上は渋滞です。
その後、好きな動物や乗り物など描くものを広げていき、最後は自由に好きなように!
集まってひたすらぐりぐりと色を重ねていく男の子たち。爪でひっかいては塗り重ねることを繰り返し、彼ら曰く「芸術」を制作!その横では1人黙々と制作する子も。
思い思いに紙をうめていきました。
そのうち、手もひざも足の裏も七色に。さらなるボディペインティングをする女の子たち。
おやつ休憩をとって、後半は黒いロール画用紙を斜めに一列配置。
前半は参加しなかった男の子たちも、おやつ休憩中に中津川さんと始めたパーカッションで、まずはリズム隊として参加。その音にあわせて描いていきます。
色のうずと小さくなったクレヨン。「こんなにちっちゃくなったよ」と見せてくれる子も。
前半は参加しなかった男の子が、最後の1人になっていつまでも描いている姿がありました。
ワークショップ終了後に、職員さんとスタッフ全員とフィードバック・タイム。
子どもたちは震災の時のことをよく覚えているそうです。「また地震が来るよ」と言ったり、「あそこ(裏の高台)なら高いから逃げられるよ」と話したりする子も。すぐ手が出たり、逆に甘えてきたり、まだまだ精神的に安定しない状態だといいます。
中津川さんは、女の子たちが「がんばろう日本」と大きく描いていたことをあげ、「子どもたちが文字をこういうふうに描くことは珍しい」と。こうした言葉への印象が、今いかに強いかがうかがえました。
児童保育館の先生からは「子どもたちが集中している姿を見て驚きました。こんなに楽しくて夢中になれるものがあるんだあ、と」とのお話も。こんなふうに描くことが、それぞれの子なかで何かしらの解放になっているのだと感じられる時間でした。 (近田)