28年度港区ふれあいアート 宮元三恵さん『NEST』
2016年8月、港区の保育園で宮元三恵さんのワークショップを実施しました。宮元三恵さんは建築を学び空間の知覚や体験をテーマとする活動をしているアーティストです。(https://www.arda.jp/workshop/artist)
今回5歳児さんと行なうワークショップのタイトルは『NEST』。「NEST」とは“巣”のこと。ワークショップの前に作りためておいてもらった棒状にした新聞紙をたくさん使い、2日間かけて、いつも過ごしている部屋の中に自分たちが入れる大きな“巣”を作ります。家でも新聞棒を作ってきた子がいるくらい子ども達のやる気と期待は充分。どんな“巣”を作りたいかイメージを広げて活動スタートです!
制作のポイントを説明する宮元さん。新聞棒を束にする時に使用するテープはちぎり方にコツがいるため初めは苦戦する子ども達。切れずにあきらめそうになっていた子も徐々に自分なりのやり方を見つけて、うまくいくと「できた!」とうれしげに報告してくれました。
テープを切ったり、壁に貼ったり、棒を巻いたり、友達がやりやすいように支えたり…様々な役割がある中で、自分の得意な活動で奮闘したり興味のある活動に挑戦したり、いきいきとした様子が見られました。担任の先生にも、子ども達の集中力や持ち味が発揮されていたと感想を言ってもらえるほどでした。
2日目には前回お休みだったメンバーも加わり、1日目に制作した「NEST」をさらに進化させていきます。
子ども達の連携もますます進み、友だちとトラブルになりやすい子が今日は他の子と協力したり、普段見かけないような珍しいペアでの共同作業も何組もあったそうで、担任の先生も新鮮だったとのこと。
また、普段ひかえめな子が部屋を横断する橋のような部分を作りたいと提案!スペース確保のため部屋の周囲に制作する予定になっていましたが、その子の熱意を感じた先生が思い切ってOKを出してくれ、すぐさまうれしそうに取り掛かっていた場面が印象的でした。
ワークショップでの関り方や役割が様々にあることが各々の子どもたちに居場所を作り、全員参加の雰囲気が自然とできていきました。
2日目はより発展的な活動になり、最終的には部屋の入り口から奥まで壁伝いに途切れずに続く見事な回廊が出来上がりました。限られた中でも日数や活動スペースの確保にご協力いただけたことがワークショップをいっそう充実したものにしてくれたと感じます。過剰なほどのテープの重なりからは念入りな様子が、壁に縦横斜めに貼られたテープ跡からは壊れないようしっかり付けようと工夫した様子が、随所に子ども達の想いがこもった作品になりました。
チカダ