NPO法人ARDA
MENU

対話で美術鑑賞「アーツ×ダイアローグ®︎」

ARDA(アルダ)の「アーツ×ダイアローグ®︎」は、アート作品と向き合って、自分の目や心や頭で感じたり、考えたことを言葉にしあう対話型の鑑賞です。

 

dialogue_00_01 dialogue_00_02

「アーツ×ダイアローグ®︎」では、作品をよく見ることからはじめ、「これは何だろう?」と一人ひとりに考えることをうながし、様々な意見を引き出しながら作品の見方を深めていきます。芸術(アーツ)をテーマに、対話(ダイアローグ)を紡ぐことによって、クリエイティブ(創造的)でクリティカル(批判的)な感性と思考を育みます。

アーツ×ダイアローグは、「ヴィジュアル・シンキング・ストラテジーズ(VTS)」の知見をベースとしています。1980年代からニューヨーク近代美術館(MoMA)でフィリップ・ヤノウィンと認知心理学者アビゲイル・ハウゼンによって、思考力の育成を目的に開発されました(当初は、VTC-ヴィジュアル・シンキング・カリキュラム-と呼ばれていました)。よくみて考え、お互いの意見を聴き、自分の気持ちや考えを言葉にすることで、“観察力、思考力(論理的思考力や批判的思考力、創造的思考力)、コミュニケーション力”などが育つとされています。

> Visual Thinking Strategies(VTS)とアーツ×ダイアローグ(作成中)

各地でアートを介したコミュニティを育む

ARDAでは、文化施設や教育現場、地域の様々な場所で、鑑賞ファシリテーターの育成と鑑賞プログラムの開発・実施してきました。アーツ×ダイアログを通して、自分の考えを言葉にし、異なる意見に耳を傾け、答えのないことについて考え続ける個人が集うアートコミュニティを創出してきました。コミュニティの構成員の中心は「鑑賞ファシリテーター」たちです。学校や美術館といった場でのアーツ×ダイアローグの実践を通してつながりあい、学び、成長しあうコミュニティを各地で形成しています。
現在 700人を超える方々がARDAの基礎研修を受講し、各地で活躍しています。


*「鑑賞コミュニケータ」と「鑑賞ファシリテーター」は同義語です。美術館では「コミュニケータ」や「アート・コミュニケータ」と呼ばれることが多いです。

>> 神奈川県大和市・西東京市の事例
>> 佐倉市立美術館・平塚市美術館の事例

アーツ×ダイアローグ®︎で育まれるチカラ

 対話を介した美術鑑賞は思考力を鍛え、人と人とのコミュニケーションを促進するものとして、注目されています。アートを介したコミュニケーションが育む力については、少しずつ研究が進んでいます。特に、これからの教育に必要だとされている論理的思考力・批判的思考力に関する調査研究は蓄積があります。他にも観察力やコミュニケーション力の一部である読解力の向上を示す研究も多くあります。一方で、まだ研究という形にはなっていませんが、実践者の多くは、答えのない状態に耐えて考え続ける力(ネガティブケーパビリティ)の向上も感じています。

観察力
好奇心をもって、物事を詳細にみる問題課題を発見する

思考力
発想を広げ創造的に思考する。様々な角度から批判的に思考し、真実を求めて探求する

他者との協働
様々な意見を認め合い、他者の参加を引き出し、納得解を導く

コミュニケーション力
他者に関心をもち、異なる意見にも共感し、自らの思いや意見を表現する

ネガティブケーパビリティ
答えのない状態を受け入れ、判断を保留にしながら、対象と向き合い続ける

自己発見と肯定感
自らの感性や思考を発見し、他者に認められることで肯定感を育む

参加者の声(原文のまま)

子どもの声

・「ぼくは、一つだけの絵について向き合って、真剣に考えるのは初めてでしたが、いろいろな人とその人の意見に質問しあったり、なっとくしたりして、新しい考えが生まれたりして楽しかったです。自分の意見と相手の意見がぶつかり合うと、改めて自分の考えを考える事ができるという事をよく知りました。」小学5年生(自己発見・思考力・他者との協働)

・「ほかのえを見たときに、アートシャベルさんをおもいだします。とくにかんしょうをするとき、色づかいや、えんぴつ、筆の使い方を気にするようになりました。」小学5年生(観察力)

・「作者の想いなども絵について深く考えてみると、ぱっと気付かないような事がどんどん見えて来て、いつの間にか絵の特ちょうをたくさん見つけていました。」小学6年生(観察力・思考力)

・「今まで美術鑑賞の時は、ボケーっとしてたんですけど、シャベラーさんたちと、べんきょうしたほんのちょっとの時間で鑑賞が好きになりました。家に帰ってからもネットで絵をさがしては、気が付いたことをメモ、、、ってことをくりかえしてました。」小学6年生(ネガティブケーパビリティ)

・「いつものじゅ業はだいたい手をあげて発表していないけど、アートシャベルのじゅ業では、答えがないと言っていたので、手をあげて発表してみたら気持ちがすっきりしました。もともと私はアートなどを見たりするのが好きだったけど、このじゅ業をして、もっとアートを見るのが好きになりました。ほかの子のいけんも聞いて、もっと考えたりしておもしろかったです。」小学3年生(コミュニケーション力・ネガティブケーパビリティ)

先生の声

・「普段なかなか細部まで見ないようなものも、じっくりと向き合うことができ、子どもたちの中にも、新たな発想が生まれると思いました。お土産のワークシートを家でやってみた子が多く、びっくりしました。「考えること」がとても楽しかったようです。」2年生担任(観察力・思考力)

・「美術館訪問の際は自分の意見に根拠を持つことができるようになっていた」4年生担任(思考力)

・「他の人の意見に共感し、友達との学び合いがあった。『友だちの意見を聞くことで考えがふくらんだ』『みんなの意見を聞いたら、自分とは真逆なんだと知ったりして面白かった』と子どもたちが言っていたように、授業の『めあて』としていた『聞く』ことの大切さを子どもたち自身が気づいてくれた。」4年生担任(コミュニケーション力・他者との協働・自己発見)

・「『楽しかった』だけじゃなく、『先生、絵ってこんな風に見えるんだねぇ』と具体的に教えてくれた子がいて、自分で学んだことを伝えられるんだなと感心しました。」6年生担任(観察力・コミュニケーション力)

 

>>対話で美術鑑賞「アーツ×ダイアローグ」活動ブログ一覧

※アーツ×ダイアローグ®︎はARDAの登録商標です(登録5938161)